公認会計士くろいの会計ブログ

当ブログでは「会計士受験生や大学受験生の悩み解決」「質問箱に対する回答」「難しい会計論点を解説」を中心に記事を書きます。

とある監査法人の新人会計士くろいの1日

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みなさん、こんにちは。

編集

公認会計士YouTuberくろいです。

 

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⬇️今回お答えするご質問はこちら

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目次

 

1.監査って何?

 

公認会計士になるとみなさんほとんどの方々は監査法人に入所し、監査の実務を学びます。

 

監査を一言で言えば、会社の決算書が合ってるかどうかをチェックし、あっていれば「この決算書は間違っていません」、という証明書(監査報告書)を発行してあげるお仕事です。

 

この仕事は公認会計士を持っている人にしかできない仕事です。

 

会計士を受験されている方々は監査論と呼ばれる学問を学んで、監査がどういうものか勉強されると思いますので、大体どういうことをするかというのはテキスト読めばなんとなくはわかると思います。

 

しかし、やっぱり実際に実務に出てみないとどういうことをするのかイメージしにくいですよね。

 

 

私は公認会計士に合格した後、中小監査法人で監査業務に2〜3年従事しました。

 

以下では、その経験に基づき、監査についてお話ししようと思います。

 

 

2.とある監査法人の新人会計士くろいの1日

 

■ 9:20〜クライアント先到着

クライアント本社ビルの1階エレベーターホールにチームみんなで集合する

集合時間は9時半だが新人なので10分前に来て待機

「うん、まだ誰もいない!よかった!」

携帯でニュースでも見ながら先輩の到着を待つ

 

■ 9:30〜集合時間

まだ誰も来ない

 

■ 9:32〜先輩方の到着

眠そうな顔の先輩方が続々と到着

特に遅刻に関しては何も言及はしない

ꉂꉂ ( ˆᴗˆ  )先輩「よし、じゃあ、行こうか」

 

■ 9:35〜受付で担当者に電話

初回以外は受付で担当者に電話したり、受付嬢の方に取り次いでもらうのは新人の仕事だ

「お世話になります。〇〇監査法人のくろいです。経理部の△△様いらっしゃいますでしょうか?」

最初はこれすらも緊張するが、もう言い飽きた

 

■ 9:40〜会議室に到着

経理担当者に迎えに来てもらって、クライアントのオフィスに入れてもらう。

 

大抵の場合は、クライアントの会議室を1日貸し切って、「監査部屋」と呼ばれる会議室にしてしまう。

 

過去の監査調書やプリンター、監査六法や備品などはトランクケースに詰めてクライアント先にあらかじめ送付して、これらをトランクケースから全て出して仕事場のセッティングするのが新人の仕事

 

トランクケースの鍵は新人が管理するのでこれをなくせば大変なことだ。

 

鍵を家に忘れてきたなんてことは新人がやりがちなミス。そうなるとみんなの仕事が進まないのでとにかく謝るしかない。そしてダッシュで家に帰るしかない。

 

■ 9:50〜仕事開始

ようやく自分の仕事が開始できる。

パソコンを開いて、メールチェック、今日のToDoを整理する。

 

今日から期末監査だ。すごく忙しくなるぞ。

 

監査は各勘定科目をそれぞれメンバーが受け持って、その勘定科目が合ってるかどうかを検証する。

 

新人は基本的な勘定科目の検証を任される。代表例は現金預金だ。

 

過去調書はバッチリ読んできた。あとはそれ通りやるだけだ!

 

■ 11:30〜ランチ

スッ

 

先輩が立ち上がる

 

先輩「ご飯行こうか」

 

午前中1時間半くらいしか仕事してないけどもうランチの時間だ。

 

早すぎる気もするけど先輩には逆らえない。

(そういえば午前中先輩お腹なってたな・・・朝飯食ってないんだろうな・・)

 

クライアント先は東京丸の内

 

東京のど真ん中

 

基本的にみんなで外食に出かけて丸の内ランチを楽しむ

 

ランチパスタ1,200円

 

(たっかいな・・・!)

 

先輩には2パターンいて、馴染みの店にいろんなところ連れてってくれる人と美味しいランチの店探しを午前中に命じてくる人がいる。

 

後者は仕事が増えるので厄介だ。気をつけよう。

 

■ 13:00〜午後の部開始

ランチから帰ってきて仕事開始

 

スタバでコーヒー買って帰ってきて飲みながら仕事をする

 

この時間が一番眠い

 

くろい「先輩、この取引なんですけど・・・?」

 

先輩「・・・・」

 

くろい(寝ている・・!?)( ゚д゚)ハッ! 

 

■ 14:00〜現金預金の調書作成

 

大体の調書作りとしては

・増減分析(簡易的にCF計算書を作ってCashの流れを説明)

・銀行残高確認状との突合

・実査の結果と突合

 

くろい(そういえば前期の調書作ったの先輩だよな。このコメントよく意味がわからないから聞こう)

 

くろい「先輩、この前期のコメントってどういう意味ですか?」

 

先輩「あのさぁ!ガキじゃねぇんだからさぁ!自分で考えようよ!?ねぇ!?」

 

くろい (((((((( ;゚Д゚)))))))ヒィ!!

 

■ 16:00〜監査調書のレビュー依頼

 

くろい(やっと現金預金の調書ができた・・・先輩にレビューしてもらおう)

 

当時は監査調書は紙の時代だったので、紙で印刷して、自分の印鑑押して、ホッチキスで止めてクリアファイルに入れてからレビューに出す。

 

くろい「先輩できました!レビューお願いします!」

 

先輩「ん・・・ふむふむ・・・このコメントどういう意味?」

 

くろい「そこは前期と同じなので、前期調書と同じコメントをしておきました。ちょっと意味はわからなかったんですが・・ハハッ」

 

先輩「あのさぁ!ガキじゃねぇんだからさぁ!わかんないことあったら自分から聞こうよ!?ねぇ!?」

 

くろい (((((((( ;゚Д゚)))))))ヒィ!!

 

※元ネタ

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■ 18:00〜退社

そろそろクライアントも退勤時間なので、我々も失礼する

 

経理担当者「どうもありがとうございました」

 

メンバーともここで現地解散

 

暇なときは帰りに飲み行ったりもする

 

しかし、今は期末決算。新人の仕事はこれで終わりではない。

 

これから事務所に帰って、新人ワークが待っている。

 

■ 18:30〜事務所で新人ワーク

新人の大事な仕事の一つに残高確認状の回収と発送がある。

 

すでにクタクタだがやらねばならない。

 

残高確認状は紙であるため、手紙を作って、封に入れて、切手を貼って・・・これを何百枚も作ります。

 

くろい「できた・・・・。あとは残高確認状が返ってきているか確認するか」

 

事務所のポストを確認して、クライアントの銀行預金を確認するためにクライアント先の銀行に出した残高確認状が事務所に返ってきているか確認する。あるいは取引先の残高確認状が返ってきているか確認する。

 

返ってきてない場合は、翌日に早く返してくれと経理担当者を通じて督促してもらうことになるので、返ってきている場合は一安心である。

 

どれが返ってきてどれが返ってきてないのか管理するのは新人の仕事です。

 

くろい「この取引先、全然返してくれないなー。なんで返してくれないんだろう。ちゃんとこの前、発送したh・・・・」

 

カバンの中に見覚えのある封筒がクシャクシャになって入ってるのが目に入った。

 

くろい(後で出そうと思ってカバンにしまってそのままだった・・・!)

 

〜翌日〜

 

先輩「あのさぁ!ガキじゃねぇんだかr(以下省略)」

(((((((( ;゚Д゚)))))))

 

 

※だいぶフィクションを交えてますので話半分に思ってください笑

 

3.まとめ

監査法人に入ってすぐにやめていく会計士はかなり多いです。

 

理由は上記1日を見ればお分かりでしょう。非常に地味です。

 

そして意外に体育会系の縦社会の文化だったりもするので、頑張って合格してこんな地味でこんな目に合わなきゃいけないんだ!ということでやめていく人がほとんどです。

 

私も2〜3年でやめてしまった身分なので同じと言えるでしょう。

 

なかなかやりがいなどを見出しにくい職業であると言えると思います。

 

監査は誰のためにやっているのかというのを自問自答していた時期もあり、建前で言えば投資家のためにやっている仕事であり、目に見えない人のためにやっている仕事とも言えるでしょう。

 

でも、3年目くらいにもなると経験も積み重なり、クライアントの質問などにも答えることができ始めて、たまに感謝されることもあります。

 

先輩などはクライアントから常に相談され常に感謝されています。

 

監査法人の仕事は最初は地味で誰からも感謝されませんが、先輩のようにクライアントから相談されるような良きパートナーとなれればそのやりがいも見出せたのかもしれません。

 

そこまでいくのに私は忍耐力がなかったのが残念ですが、これから会計士となる方々は地味で大変な仕事が待っているということだけは覚悟しておいてください。

 

決して華やかな仕事をいきなりできるとは夢にも思わないでください。

 

最初の泥臭い仕事を経て、少しずつ華やかな仕事を任されるものです。

 

その期待ギャップが少しでもなくなればと思っています。

 

 

 

公認会計士YouTuberくろいより