公認会計士くろいの会計ブログ

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前科があると公認会計士になれないのか? | 前科が及ぼす様々な国家資格への影響

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目次

 

 

1.公認会計士の欠格事由

1−1.前科があると公認会計士になれないのか?

 

条件付きですが、なることができます。

 

公認会計士法の第四条に公認会計士の欠格事由について記載があります。

第四条 次の各号のいずれかに該当する者は、公認会計士となることができない。
一 未成年者、成年被後見人又は被保佐人
二 この法律若しくは金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第百九十七条から第百九十八条までの規定に違反し、又は投資信託及び投資法人に関する法律(昭和二十六年法律第百九十八号)第二百三十三条第一項(第三号に係る部分に限る。)の罪、保険業法(平成七年法律第百五号)第三百二十八条第一項(第三号に係る部分に限る。)の罪、資産の流動化に関する法律(平成十年法律第百五号)第三百八条第一項(第三号に係る部分に限る。)の罪若しくは会社法(平成十七年法律第八十六号)第九百六十七条第一項(第三号に係る部分に限る。)の罪を犯し、禁以上の刑に処せられた者であつて、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつてから五年を経過しないもの
三 以上の刑に処せられた者であつて、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつてから三年を経過しないもの
四 破産者であつて復権を得ない者
五 国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)、国会職員法(昭和二十二年法律第八十五号)又は地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号)の規定により懲戒免職の処分を受け、当該処分の日から三年を経過しない者
六 第三十条又は第三十一条の規定により登録の抹消の処分を受け、当該処分の日から五年を経過しない者
七 第三十条又は第三十一条の規定により業務の停止の処分を受け、当該業務の停止の期間中にその登録が抹消され、いまだ当該期間を経過しない者
八 第三十四条の十の十七第二項の規定により特定社員の登録の抹消の処分を受け、当該処分の日から五年を経過しない者
九 第三十四条の十の十七第二項の規定により、監査法人の第三十四条の五各号に掲げる業務を執行し、監査法人の意思決定に関与し、又は補助者として監査法人の業務に従事することの禁止の処分を受け、当該禁止の期間を経過しない者
十 税理士法(昭和二十六年法律第二百三十七号)、弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)若しくは外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法(昭和六十一年法律第六十六号)又は弁理士法(平成十二年法律第四十九号)により業務の禁止又は除名の処分を受けた者。ただし、これらの法律により再び業務を営むことができるようになつた者を除く。

出典:e-Gov法令検索

 

こちらの第四条の三をご覧ください。

三 以上の刑に処せられた者であつて、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつてから三年を経過しないもの

 

つまり、刑の執行が終了し三年を経過すれば公認会計士となることができるようです。

 

前科は公認会計士方において一定のペナルティを課されますが、それでもなるチャンスは与えられています。

 

これは日本公認会計士協会に登録して、公認会計士の資格を手に入れる際の制約ですが、その前に公認会計士試験に合格する必要があります。

 

では、公認会計士試験の受験資格はどうなっているのでしょうか?

 

1−2.公認会計士試験の受験資格は?

公認会計士試験の受験資格は、制限が一切ないようです。

 

性別、年齢、学歴、国籍などのどのような条件であっても、試験に合格さえすれば「公認会計士試験合格者」という輝かしいタイトルを手にすることができます。

 

公認会計士でなくとも合格者というだけでも履歴書では光ることでしょう。

 

このように公認会計士の資格は、敷居がそんなに高くないことから人生を逆転するには最適の資格と言えます。

 

それでは次に他の国家資格はどうなっているのか調べてみました。

 

2.他の国家資格の欠格事由

2−1.弁護士

法律の専門家である弁護士。

調べなくてもなんとなく法律を破ったことある人が弁護士なってはダメなよう気がします。

 

調べてみると案の定そのようです。

弁護士法第七条に弁護士資格の欠格事由についての記載があります。

 

第七条 次に掲げる者は、第四条、第五条及び前条の規定にかかわらず、弁護士となる資格を有しない。
一 禁錮以上の刑に処せられた者
二 弾劾裁判所の罷免の裁判を受けた者
三 懲戒の処分により、弁護士若しくは外国法事務弁護士であつて除名され、弁理士であつて業務を禁止され、公認会計士であつて登録を抹消され、税理士であつて業務を禁止され、又は公務員であつて免職され、その処分を受けた日から三年を経過しない者
四 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者

出典:e-Gov法令検索

 

第七条の一に「禁固以上の刑に処せられた者」とあり、公認会計士法のようにペナルティ期間は設けられておらず、弁護士の場合、一回でも禁固刑以上の前科があるとなれません。

 

確かに法律の専門家である弁護士が、実は昔法律を大きく踏み外したことがあるとなれば説得力が全くなくなりますからね。弁護士の場合は当然かと思います。

 

2−2.裁判官及び検察官

法の番人である裁判官。

もう調べなくともわかりますよね。

裁判所法の46条に記載があります。

第四十六条(任命の欠格事由) 他の法律の定めるところにより一般の官吏に任命されることができない者の外、左の各号の一に該当する者は、これを裁判官に任命することができない。
一 禁錮以上の刑に処せられた者
二 弾劾裁判所の罷免の裁判を受けた者

出典:e-Gov法令検索

 

禁固刑以上の前科の持ち主は法の番人になることはできません。

 

また検察官も同様です。

検察庁法の第20条に記載があります。

第二十条 他の法律の定めるところにより一般の官吏に任命されることができない者の外、左の各号の一に該当する者は、これを検察官に任命することができない。
一 禁錮以上の刑に処せられた者
二 弾劾裁判所の罷免の裁判を受けた者

出典:e-Gov法令検索

 

検察官も禁固刑以上の前科があるとなることができません。

 

2−3.国家公務員

では、国のために働く国家公務員はどうでしょうか?

国家公務員法の第38条に記載があります。

第三十八条 次の各号のいずれかに該当する者は、人事院規則で定める場合を除くほか、官職に就く能力を有しない。
一 禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者
二 懲戒免職の処分を受け、当該処分の日から二年を経過しない者
三 人事院の人事官又は事務総長の職にあつて、第百九条から第百十二条までに規定する罪を犯し、刑に処せられた者
四 日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他の団体を結成し、又はこれに加入した者

出典:e-Gov法令検索

 

第三十八条の一をみると、禁固刑以上で刑の執行中でなければ、国家公務員になることが可能のようです。

 

公認会計士のようにペナルティ期間もなく、国家公務員の方が条件は緩和されているようです。前科があったとしても、あまねく優秀な人材を国家のために雇おうという趣旨でしょうか。

 

そのため、警察官も国家公務員(地方公務員)なので、前科があったとしても警察官になれます。

 

この辺は意外でしたが、これも前述のように優秀な人材を国家に雇う趣旨かと思われます。

 

2−4.医者

おそらく国内で一番難しいであろう国家試験。

医者の欠格事由は医師法の第3条と第4条に記載があります。

第三条 未成年者、成年被後見人又は被保佐人には、免許を与えない。
第四条 次の各号のいずれかに該当する者には、免許を与えないことがある。
一 心身の障害により医師の業務を適正に行うことができない者として厚生労働省令で定めるもの
二 麻薬、大麻又はあへんの中毒者
三 罰金以上の刑に処せられた者
四 前号に該当する者を除くほか、医事に関し犯罪又は不正の行為のあつた者

出典:e-Gov法令検索

 

ここでのポイントは言い回しです。

第3条では「〜免許を与えない」となっているのに対し、第4条では「〜免許を与えないことがある」という言い回しの違いがあります。

 

こちらは第3条は絶対的欠格事由と呼ばれ、未成年は何がなんだろうと絶対に医者にはなれないとされているのに対し、第4条は相対的欠格事由と呼ばれ、場合にはよっては医者になれるしなれない場合もあるという判断が入るものになっているようです。

 

第四条の三で「罰金以上の刑に処せられた者」とあり、他の資格だと「禁固刑以上」なので、それに比べると若干厳しめかと思います。

 

例えば、車の運転でスピード違反して罰金が課せられるような軽犯罪の経験があると、医者になれない可能性あることを意味します。

 

医者じゃないのでわからないですが、おそらくですが、スピード違反くらいの軽犯罪なら大丈夫のように思いますが、飲酒運転などの重い罰金刑や禁固刑以上の前科があると医者になることは厳しいように推察されます。

 

2−5.税理士

公認会計士と似たような資格ですが、税理士の場合はどうでしょうか?

税理士法の第四条に記載があります。

第四条 次の各号のいずれかに該当する者は、前条の規定にかかわらず、税理士となる資格を有しない。
一 未成年者
三 破産者で復権を得ないもの
四 国税若しくは地方税に関する法令又はこの法律の規定により禁錮以上の刑に処せられた者で、その刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から五年を経過しないもの
五 国税若しくは地方税に関する法令若しくはこの法律の規定により罰金の刑に処せられた者又は国税通則法関税法(昭和二十九年法律第六十一号)(とん税法(昭和三十二年法律第三十七号)及び特別とん税法(昭和三十二年法律第三十八号)において準用する場合を含む。)若しくは地方税法の規定により通告処分を受けた者で、それぞれその刑の執行を終わり、若しくは執行を受けることがなくなつた日又はその通告の旨を履行した日から三年を経過しないもの
六 国税又は地方税に関する法令及びこの法律以外の法令の規定により禁錮以上の刑に処せられた者で、その刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から三年を経過しないもの
七 懲戒処分により税理士業務を行うことを禁止された者で、当該処分を受けた日から三年を経過しないもの
八 国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)、国会職員法(昭和二十二年法律第八十五号)又は地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号)の規定により懲戒免職の処分を受け、当該処分を受けた日から三年を経過しない者
九 国家公務員法若しくは国会職員法の規定による懲戒免職の処分を受けるべき行為をしたと認められたことにより退職手当支給制限等処分(国家公務員退職手当法(昭和二十八年法律第百八十二号)第十四条第一項第三号に該当することにより同項の規定による一般の退職手当等(同法第五条の二第二項に規定する一般の退職手当等をいう。以下この号において同じ。)の全部若しくは一部を支給しないこととする処分又は同法第十五条第一項第三号に該当することにより同項の規定による一般の退職手当等の額の全部若しくは一部の返納を命ずる処分をいう。以下この号において同じ。)を受けた者又は地方公務員法の規定による懲戒免職の処分を受けるべき行為をしたと認められたことにより退職手当支給制限等処分に相当する処分を受けた者で、これらの処分を受けた日から三年を経過しないもの
十 弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)若しくは外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法(昭和六十一年法律第六十六号)、公認会計士法弁理士法(平成十二年法律第四十九号)、司法書士法(昭和二十五年法律第百九十七号)、行政書士法(昭和二十六年法律第四号)、社会保険労務士法(昭和四十三年法律第八十九号)又は不動産の鑑定評価に関する法律(昭和三十八年法律第百五十二号)の規定による懲戒処分により、弁護士会からの除名、公認会計士の登録の抹消、弁理士司法書士若しくは行政書士の業務の禁止、社会保険労務士の失格処分又は不動産鑑定士の登録の消除の処分を受けた者でこれらの処分を受けた日から三年を経過しないもの(これらの法律の規定により再び業務を営むことができることとなつた者を除く。)
十一 税理士の登録を拒否された者のうち第二十二条第四項の規定に該当する者又は第二十五条第一項第一号の規定により税理士の登録を取り消された者で、これらの処分を受けた日から三年を経過しないもの

出典:e-Gov法令検索

 

このうち第四条の四〜六をご覧ください

四 国税若しくは地方税に関する法令又はこの法律の規定により禁錮以上の刑に処せられた者で、その刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から五年を経過しないもの

税金がらみの法律を犯して、禁固刑以上が課せられると、刑の執行終了から5年間は税理士になることができないようです。

 

五 国税若しくは地方税に関する法令若しくはこの法律の規定により罰金の刑に処せられた者又は国税通則法関税法(昭和二十九年法律第六十一号)(とん税法(昭和三十二年法律第三十七号)及び特別とん税法(昭和三十二年法律第三十八号)において準用する場合を含む。)若しくは地方税法の規定により通告処分を受けた者で、それぞれその刑の執行を終わり、若しくは執行を受けることがなくなつた日又はその通告の旨を履行した日から三年を経過しないもの

税金がらみの法律でも、罰金刑の場合は、刑の執行終了から3年間は税理士になることができないようです。

 

六 国税又は地方税に関する法令及びこの法律以外の法令の規定により禁錮以上の刑に処せられた者で、その刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から三年を経過しないもの

 

こちらは税金以外の法律で、禁固刑以上の刑に課せられると刑の執行終了から3年間は税理士になることができないという公認会計士と同様の扱いになっています。

 

では、税理士試験の受験資格はいかがでしょうか?

税理士試験の受験資格は公認会計士と違い、税理士法で事細かく決められています。

第五条 次の各号のいずれかに該当する者は、税理士試験を受けることができる。
一 次に掲げる事務又は業務に従事した期間が通算して二年以上になる者
イ 税務官公署における事務又はその他の官公署における国税(関税、とん税及び特別とん税を除く。第二十四条、第三十六条、第四十一条の三及び第四十六条を除き、以下同じ。)若しくは地方税に関する事務
ロ 行政機関における政令で定める会計検査、金融検査又は会社その他の団体の経理に関する行政事務
ハ 銀行、信託会社(信託業法(平成十六年法律第百五十四号)第三条又は第五十三条第一項の免許を受けた者をいう。)、保険会社又は特別の法律により設立された金融業務を営む法人における政令で定める貸付けその他資金の運用(貸付先の経理についての審査を含む。)に関する事務
ニ 法人(国又は地方公共団体特別会計を含む。)又は事業を営む個人の会計に関する事務で政令で定めるもの
ホ 税理士若しくは税理士法人、弁護士若しくは弁護士法人又は公認会計士若しくは監査法人の業務の補助の事務
ヘ 弁理士司法書士行政書士その他の政令で定める法律上資格を有する者の業務
二 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)の規定による大学若しくは高等専門学校を卒業した者でこれらの学校において法律学又は経済学を修めたもの又は同法第九十一条第二項の規定により同法による大学を卒業した者と同等以上の学力があると認められた者で財務省令で定める学校において法律学又は経済学を修めたもの
三 司法試験に合格した者
四 公認会計士法第八条第一項に規定する公認会計士試験の短答式による試験に合格した者又は当該試験を免除された者(当該試験の試験科目の全部について試験を免除された者を含む。)
五 国税審議会が法律学又は経済学に関し前三号に掲げる者と同等以上の学力を有するものと認定した者
2 前項第一号に掲げる事務又は業務の二以上に従事した者は、これらの事務又は業務の二以上に従事した期間を通算した場合に、その期間が二年以上になるときは、税理士試験を受けることができる。
3 前二項の規定の適用については、第一項第一号に掲げる事務又は業務に類する事務又は業務として国税審議会の認定を受けた事務又は業務は、同号に掲げる事務又は業務とみなす。
4 第一項第五号及び前項に規定する国税審議会の認定の手続については、財務省令で定める。

 

簡単にいうと、簿記1級以上を持っているか?または大卒であるか?など資格や学歴のフィルターもかかります。

 

公認会計士には受験資格一切ないのに税理士はかなり制限があるんですね。。結構不思議です。

 

3.まとめ

様々な資格の欠格事由を比較してきましが、いかがでしたでしょうか?

 

人生過ちを犯してしまうことは誰にでもあり、それが法律に触れれば警察や裁判所のお世話になり、世間に迷惑をかけてしまうこともあります。

 

質問者さんがどのような法律を犯したのかどのような背景だったのかは存じませんが、社会のルールを破りペナルティが課せられたことは事実だと思うので、そこは一生反省すべきことなのかと思います。

 

刑の内容や度合いによるかもしれませんが、だからと言って人生諦めろというのは酷な気がします。

 

上記の通り、前科があったとしても、会計士、税理士、国家公務員であれば条件はありますが、資格を取って人生再スタートできるチャンスはあります。

 

これらの資格は国の経済や公共の利益にたくさん貢献できるものと思いますので、世間に迷惑をかけた分、資格でそれを返上することが大きな社会貢献になると思います。

 

私もこの先絶対法律は犯さないという自信はあるものの、何が起こるかわからないことを考えると慎重に人生歩んでいきたいと思いました。

 

また改めて公認会計士という資格は人生を逆転させるのに適した資格であるということを再確認することができました。

 

 

 

公認会計士YouTuberくろいより