みなさん、こんにちは。
公認会計士YouTuberくろいです。
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目次
1.ブランクがあっても監査業務ができるか?
私はできると思ってます。
もちろん監査未経験の人がすぐにやれと言われても出来ないでしょうけど、私の場合は数年ですが監査業務をかじった程度経験はしてますので、どういう監査手続きがあるのかという理論と実務は身についてはいます。
さらには大手監査法人だと監査マニュアルがきちんと整備されてますし、前任者の過去の監査調書などを見ながら実施すれば業務はしやすいのではないかと思ってます。
ちなみに余談ですが、過去の監査調書のコメントをそのまま用いると、9割方レビュアーの人に問い詰められます。
「過去の監査調書に書いてあったから同じコメントしています」
なんて言おうものなら、その日の夜は眠れないほどめちゃくちゃ怒られますので注意してください。(自分で理由を説明できないものを持ってくるなということです)
2.監査は簡単なのか?
ブランクがあっても監査はできる、なんて言うと監査は簡単なのか、と思われるかもしれませんが決してそんなことはありません。
企業の決算書が正しいかどうかを判断するのは相当難易度の高い仕事だと思います。
私は今企業内会計士として経理部内で連結決算の業務に携わっており、監査される側の人間として監査法人の方々と接します。
我々もミスがないようにいろいろ分析などを駆使して間違いを防止しますが、それでも誤ってしまうことはあります。
そんな時に助けになるのが監査人の方々です。
たまにどうやったらそこに気付けるの?と思うくらい盲点な誤りなどを指摘もらうことがあり、驚くこともあります。
企業内にいても誤りを見つけられないものを外部の人である監査人が見つけるというのは、やはりすごいことでプロフェッショナルでないとなかなか務まらないと思います。
3.企業内会計士を経験した後の監査
私が監査法人で監査していたのは初社会人になって2〜3年の間だけです。
その後はIFRSコンサルなどを経験し、今は経理内で連結決算を行っています。
監査以外の様々な視野を経験できた今、この経験を生かして監査を行えば、当時よりもパワーアップして監査ができるのではないかと思うのです。
現役の監査人からしたらそんな甘いもんじゃない、と怒られそうですが、視野は確実に広まったと思っています。
何より監査で役立つ経験は逆の立場である企業内での経理経験と思っています。
企業にどういう情報があって、経理の人がどういう動き方をするのか、どういうことに気にするのかというものがわかっていますので、監査を実施する上で経理の人との会話はスムーズにできると思います。
例えば、監査している時は、減損が起こっている資産がないかを調べる過程で、全ての会社に将来のキャッシュフロー計画なるものがあると思っていましたが、実際は翌事業年度くらいしか見通していません。
新規事業を行う新規設立会社や事前に監査法人から作れと言われた重要な会社は5年くらい見通したキャッシュフロー計画はありますが、それ以外はわざわざそんなものは作らないのです。
にもかかわらず、監査法人にいた時は、あるべき論しか知らないので、キャッシュフロー計画出してくれと言っていましたがそんなのは無理難題なわけです。
1年くらい前もって伝えていればどうにかなるかもですが、決算の直前とかに出すことは不可能で、経理もそのような依頼は事業側にする必要があるので、社内の他部署に依頼せねばならず気を使うところです。
などなど、そのような内部事情もわかっていますので、経理の動き方などを踏まえた依頼が可能となります。
さらに、企業内会計士をやってきて監査に活かせる一番のポイントだと思うのは、合ってる間違ってるの監査技術よりも、監査の指導的機能をより発揮できるのではないかと思うのです。
経理の大事な業務の一つにBPR、つまり業務改善という業務があり、無駄な業務フローなどは徹底的に省く必要があります。
監査では企業の内部統制もチェックしますので、企業の業務フローなどをチェックする過程でBPR的なアドバイスをすることが可能となり、これは企業にとって一番喜ばれるスキルなのではないかなと思います。
内部統制は保守的な守りの業務なので、合ってるか間違ってるかの判断に留まりがちですが、こういう攻めの助言をしてくれる監査人はなかなかいないので重宝されると思います。
4.終わりに
良い監査人になるためにはむしろ一回監査法人を出て、外の空気を吸ってからまた違った視点を持って、再度監査業務を行うと見える世界が全然違ってくると思います。
監査をしているとどうしても視野が狭くなりがちで、あるべき論に走りがちなのですが、実務がどういう風に回っているのかを知るには逆の立場である企業側に回ることが一番の経験になると思います。
監査法人から出向で一般の企業に行くことがよくあると思いますが、そのような機会をたくさん設けた方が双方にとっても非常に有益なのではないかと思います。
企業側からすれば会計のプロを職員として迎えることができるし、監査法人側からすれば人材育成の観点で、実務を経験させることができ、双方にメリットがあります。
私もそうでしたが、会計士が企業内に入ると最初実務を知らないのであるべき論を振りかざしがちなのですが、柔軟に対応しないとかなり嫌われます(笑)
これに対応できず、嫌われる人が方が多いのも事実です。監査法人から出向したが会社に嫌われてすぐに戻ってくる人は少なからずいます。
ですが、馴染めると企業の中で様々な経験をさせてくれますので、非常に良い経験です。
監査法人を辞めて再度戻ってくる人は正直あまりいないのですが、これを書いている今そういった道もアリなのかなと思いました。
なので、監査にブランクがあったとしても、また当時とは違った視点で監査ができるという点で会社に価値提供できると思っています。
公認会計士YouTuberくろいより