みなさん、こんにちは。
公認会計士YouTuberくろいです。
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目次
1.はじめに
まず前提を言うと、将来のことは誰にもわからないので、確定的なことなどは申し上げられません。
その上で、私の個人的な意見を言うと、最近のコロナ影響により、会計士業界の就職活動に悪影響があるかといえば多少はあるかもしれませんが、リーマンショックの時ほどの就職氷河期にはならないと思っています。
2.リーマンショックの時の状況
2008年9月にアメリカの投資銀行であるリーマン・ブラザーズが破綻したことを決起に、世界の経済市場は停滞したことをリーマンショックと呼ばれています。
どのような状況だったかと言うと、2007年〜2011年頃の日経平均のあたりに注目していただけると当時の経済の低迷具合が見て取れます
2007年2月26日(最高値):18,300円
〜2008年9月:リーマン破綻〜
2008年10月28日(最安値):6,994円
<参考:リーマンショック時の下落率とコロナショック | 株式会社フジトミ>
このように日経平均が8千円前後で停滞するような状況が2012年の12月くらいまで続いていくことになります。
3.金融庁による公認会計士の大量増産政策
リーマンブラザーズが破綻するちょっと前までは株価も1万8千円前後の株価を推移するような好景気で、四半期財務諸表の導入、内部統制監査の導入などで公認会計士が足りないような状況が続いていました。
そこでこの状況に対応するため、金融庁は、2006年頃より試験制度を改定し、会計士試験の合格者を大量に増産するというような方策を取りました。
2005年合格概要(旧試験)
合格者/受験者:1,308人/15,322人
合格率:8.5%
17年11月7日 公認会計士試験第2次試験合格者の発表の概要について
2006年合格概要
合格者/受験者:3,108人/20,796人
合格率:14.9%
2007年合格概要
合格者/受験者:4,041人/20,926人
合格率:19.3%
2008年合格概要
合格者/受験者:3,625人/21,168人
合格率:17.1%
このように多くの受験者が応募し、合格者も大量に世に出ていくことになりました。
また、大手監査法人もこのような合格者たちを大量に採用していました。
そして、2008年9月以降リーマンショックにより経済が低迷するわけですが、そうなると企業の監査報酬の引き下げや大手監査法人から中小監査法人に変更するような企業が増加し、大手監査法人の経営も苦しくなっていきます。
それまでに大量に合格者を採用していたため、大量の職員を雇う余裕もなくなり、大手監査法人も他の一般企業と同様にリストラを始めました。
この状況を受け、金融庁もこれまでとは一転して、会計士を世に出す数を絞り始め、問題の難易度を上げ、合格率を大きく引き下げました。
2011年合格概要
合格者/受験者:1,511人/23,151人
合格率:6.5%
2011年頃には旧試験よりも難しい試験になって、合格者数を絞りに絞りました。
4.会計士大量増産政策と不況による就職氷河期
このように2011年頃が景気不況のピークであり、一般の業界でも会計士の業界でも就職できないという就職氷河期が訪れます。
特に会計士業界は悲惨で、監査法人も受け入れを絞っているので、2011年の劇的に難しい試験を潜り抜けたとしても、就職できないという目も当てられない状況になります。
私自身もこの頃に就職活動したのですが、大手監査法人に書類で落とされるなど会ってもくれないという状況で、監査法人をいくつも回ってなんとか中小監査法人一社から内定をいただくことができました。
本当に運が良く私は監査法人に就職できましたが、監査法人に就職できない人はたくさんいました。
5.現在の状況と比較しよう
さて、これまで見てきた状況と比較して、今の状況はどうでしょうか?
2020/4/10:19,498円
2019年合格概要
合格者/受験者:1,337人/12,532人
合格率:10.7%
https://www.fsa.go.jp/cpaaob/kouninkaikeishi-shiken/ronbungoukaku_r01/01.pdf
リーマンショックの時と比べれば、株価はまだまだ高値を維持していますし、大量増産時期に比べれば合格率はそれほど高くはないものの、リーマンショックの時に比べれば高い合格率になっています。
また、上述のように会計士に合格しても就職できないという噂が広まったことにより、受験者数が半分以上に激減し、昨今の働き方改革なども追い風となり、今度は逆に会計士が足りていないという状況に陥ってます。
この辺2011年に苦労した私からすれば、この業界に対する憤りはなんとも言えないものがあります(笑)
大手監査法人も会計士持ってない人や新卒も採用するようになり、人材不足を解消しているようです。
6.最後に言いたいこと
このようにコロナ影響が会計士業界の就職に悪影響あるのではないか、と囁かれていますが、以前のリーマンショックの時のような最悪な状況に陥っておらず、会計士も足りてないという状況に見れば、そこまでの悪影響はないのではないか、と私は思っています。
ただマインドの問題としてみなさんに持っていただきたいのは、もし、
「コロナで就職状況が悪化するのは見えています」
というのが私の回答だったとしたら、どうしますか?
私だけでなく世論がそうだとしたらどうしますか?
じゃぁ、会計士の勉強やめた、となりますでしょうか?
会計士の資格を取得するのを諦めたとして、一般の業界にみなさんは何を武器に就職活動しますでしょうか?
コロナ影響で会計士業界への影響は少ないと思われますが、一般の企業はそうではないと思います。飲食業や旅行業などは明らかなダメージを負っているはずなので、就職市場は低迷すると予想されます。
そんな中、丸腰で勝負しにいくのは無謀ですし、会計士試験を途中で諦めたことを説明するのは就職活動する上で逆に不利になると思います。
なので、不安な気持ちは痛いほどわかりますが、今は目の前の試験に集中してそこに受かることだけを考え、全力で試験勉強に打ち込んでいただきたいなと思っています。
そのような不安は受かってから考えればいくらでも対策はできます。
そして、今現在私は公認会計士の資格を取って後悔はないですし、むしろ資格があって良かったと思っています。どんな不況になっても圧倒的な知識とスキルがありますと資格が証明してくれますので、食いっぱぐれることはなく、精神的に自由になれます。
将来公認会計士の資格を持ってて良かったと絶対に言っていただけるはずなので、この状況を乗り切っていただければと思います。
公認会計士YouTuberくろいより